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痔ものがたり

第19話 直腸脱  筋力不足で直腸が脱出 (H7.11.1)

 「4年前から、卵くらいの大きさのものが肛門から出始めたんです」と言って診察室に現れた66歳の主婦Tさん。今までは、特に出血や痛みもなくも自分で元にに戻すことができたため、イボ痔が外に出る脱肛だと思って放置していたそうです。ところが、3ヶ月ほど前から、リンゴぐらいの大きさとなり、自分では元に戻すことができなくなりました。そして、とうとう日曜日の夜間、急患として来院することになったのです。診断の結果Tさんは、直腸が脱出している「直腸脱」でした。直腸脱は、肛門から、何かが出てくるという点では脱肛と同じで、よく間違えられますが、その発生の仕方も治療法もまったく異なります。

 脱肛は、排便時に、おしりにできた内痔核と一緒に健康な皮膚が肛門の外に引きずり出されるために起こり。肛門が裏返しになった状態をいいます。一方、直腸脱は、直腸壁の全部かめくれて肛門の外に脱出する病気です。肛門活約筋のゆるみだけではなく、直腸を骨盤内につり上げて支えている組織のゆるみが原因となります。幼児にも直腸脱はありますが、成長と共に自然に治るケースがほとんどです。やっかいなのは、老人になって筋力の衰えが原因で起こる直腸脱や、もともと筋力不足という体質で起こる直腸脱です。初めは簡単に元に戻せる場合がほとんどです。横たわって、脱出した直腸を自分で押し込めば、肛門内に戻すことができます。しかし、またすぐ脱出してしまい、ついには自分では戻すことができなくなるのです。

 Tさんのように頻繁に脱出が起こると、手術による治療が必要となりますが、現在では、高齢の方も安全、確実に手術ができるようになりました。Tさんも無事、手術を終え退院していきました。

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