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肛門漫遊記

かん腸効かぬ糞便栓塞 治療法は医師が指先でかき出す (1997.11.10)

 直腸の排便反射機能が鈍くなったり、便意を我慢しているうちに、大量の便が直腸内にとどまり、水分をすっかり抜き取られて石のようにコチコチに固まってしまうことがあります。

 これが俗にいう糞詰まりで、医学的には糞便栓塞(せんそく)といいます。  脳出血や脳軟化症の患者や、長期間病床に伏せていて腹筋が弱くなってしまった寝たきり老人などに多く見られます。また、若い人でも、便意を抑えることが習慣になっている便秘症の人や、ダイエットのために朝食を抜いたり、食事量を減らしていることが原因で起こるケースもあります。

 糞便栓塞は、通常の下剤やかん腸だけでは解消できません。下剤やかん腸を使えば、多少便は出てきますが、これは直腸内にとどまっているたくさんの便の表面が少し溶けて流れ出ただけに過ぎません。特にかん腸液は便の色に似ているため、誤解されがちです。当然、大きな便の塊は、直腸の真ん中に居座っているため、おなかの張りはいっこうに治まりません。

 このように、下剤やかん腸も効果がないので、治療はまず、固くなった便を、医師が指先で少しずつほぐすようにかき出していきます。これは大変労力のいる肛門科医泣かせの作業です。さらに、高圧かん腸を用いたり、下剤を飲んでもらったりして、たまった便を全部排出させます。こうすれば、患者様は非常に楽になります。

 ただし、この疾患では、便塊による圧迫や物理的刺激により直腸の内壁に難治性の潰瘍(かいよう)が生じたり、腸閉塞(へいそく)を起こす場合もあるので、「単なる糞詰まりだから」などと甘く見てないで、専門医で受診することが肝心。

 もちろん、こうなる前に食事や運動、規則正しい生活習慣で便通を整えておきたいものです。

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